みなさま
あなたがアーティストなり活動家ならおやめになって頂けないでしょうか。作品もおつくりにならないで下さい。パフォーマンスやら活動云々もおやめ下さい。あなたがキュレーターやらプロデューサーなり批評家なら、美術館勤めはもちろん、企画やら執筆などあらゆる活動をおやめ下さい。言わずもがな、ギャラリストなど運営者なり経営者は商いはもちろん、すぐにスペースも物資も手放して下さい。観客なり参加者の方々、鑑賞なり参加をおやめ下さい、お帰りになるのもおやめ下さい。会社勤めはもちろん、仕事も学業も遊びも一切合切、生活の全てをおやめ下さい。計画を全て中止して下さい。あらゆるものを手放して下さい。
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「人間は誰でも芸術家」というヨーゼフ・ボイス(1921-1986)の言葉が象徴するような、あらゆる者が芸術家となり、あらゆるものが作品となっていく傾向に反し、一方で誰もが芸術家でなくなり、何もかもが作品でなくなっていく傾向が展開しているとも言えるのではないでしょうか。求められるはアーティストになるのではなくアーティストをやめること、作品をなすのではなく作品をやめることと言えるかもしれません。あるいは人間をやめること、生きるのをやめることなど。
「生きる」のをやめるにはどうしたらよいでしょう。思い浮かぶ「自殺」なり「死ぬ」は「生きる」の対をなすベクトルに過ぎないのかもしれません。では「生きる/死ぬ」をやめるにはどうしたらよいか。そこでなされてきたアプローチの例として宗教であったり芸術の例が挙げられるのかもしれませんが、上述のように、ここでは宗教や芸術もやめることを前提にディスカッションをおこないます。
『1ペニー硬貨:ブラックホールになった地球の大きさ』|2014|1ペニー硬貨|直径: 20.3mm
“One penny coin: When the earth became a black hole” | 2014 | Material: a single one penny coin | Diameter: 20.3 mm
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橋本聡
1977年生まれ(元レオナルド・ダ・ヴィンチ)。2012年より「基礎芸術 Contemporary Art Think-tank」。最近の発表に「あなたのコンセプトを私に売って下さい」(インド、 2011)、グループ展「不幸なる芸術」(switch point、 東京、 2011)、グループ展「Omnilogue: JOURNEY TO THE WEST」(Lalit Kara Academy、 ニューデリー、 2012)、「独断と偏見:観客を分けます」(国立新美術館、 東京 2012)、「あなたが埋める、●●●。(仮)」(blanClass、 神奈川、 2012)、「偽名」(「14の夕べ」東京国立近代美術館、 東京、 2012)、「P P P P P P P P P P P」(「NEO公共」吉祥寺駅近辺、 2012)、「私はレオナルド・ダ・ヴィンチでした。魂を売ります。天国を売ります。」(青山|目黒、 東京、 2013)、「写真撮影(アートマーケット、撮影者):ボディビルダー」(「アートフェア東京2014」東京国際フォーラム、 東京、 2014)、「Fw:」(表参道画廊、2014)、「国家、骰子、指示、」(Daiwa Foundation Japan House、ロンドン、2014)、「未来芸術家列伝IV」(東京、 2017)など。
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【同時開催】
橋本聡は、10月10日〜12日の期間、京都エクスペリメントにも参加しております。詳細はこちら
http://kyoto-ex-useful.jp/archives/348
橋本聡 レクチャー&ディスカッション「やめること」
日時:2014年10月12日(日)18:30~21:30
場所:京都芸術センター 茶室明倫
入場料:500円